宗教について 〜 人の生と死を考える 注35

公開: 2023年3月13日

更新: 2023年4月8日

注35. プラグマティズム哲学

20世紀の始め、進化論の影響を強く受けた米国社会の知識人の間では、それまでは絶対的真理を書いたものであると信じられていた聖書は、真理を記したものではなく、それを書いた人々が真理だと信じていたことを記述しただけの書物に過ぎない、と言う結論に到達しました。カトリック教会が主張していた天動説には、矛盾があり、科学的には真実であるとは言えません。世界に存在する全てのものが、聖書に書いてあるように、歴史の最初から私たちが今見ている通りのものであった、とは思えなくなっていたのです。このような人間の理解と真理とを対比させると、人間には普遍的な真理を理解することは不可能ではないかと考えるようになったのです。

この哲学的な問題を解決するため、米国の哲学者達は、科学の進歩と、人間の理解の正しさとの関係を見直し、人間にできることは、その時その時で、「最も正しそうな説明を見出すこと」だけであると考えるようになりました。ですから、私たちが理解している説明に、現実を説明できない、不都合な問題が見つかった時には、その説明を捨て、矛盾が表面化しない、より良い説明を見出すしかないのです。このように少しずつ真理に近づくしかないとする考え方を、「プラグマティズム」と呼びます。このプラクマティズム哲学の考えにより、20世紀になってから、科学技術は著しく進歩しました。

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